五島の海はうまかばい!地魚グルメと旬の話
ご存じの方も多いかとは思いますが、長崎県は魚が美味しくて有名です。特に五島列島で獲れる魚は抜群に新鮮で美味しく、水揚げされた魚はその日のうちに全国のレストランや高級料亭などに発送されていきます。そんな五島の魚の事と五島魚市のことを少しだけ書いてみます。
五島列島の海ってどんな場所?
長崎県の西端、日本海と東シナ海の境界に浮かぶ五島列島。大小あわせて140以上の島々からなり、その周囲を囲むのは、日本でも有数の漁場として知られる海です。
🔹黒潮の恩恵を受ける豊かな海
五島列島の周辺海域には、対馬海流(黒潮の一部)が流れ込んでいます。この温かい海流が、プランクトンを豊富に運び、さまざまな魚たちの産卵場・成育場として最適な環境を作り出しています。
🔹入り組んだリアス式海岸と多様な魚種
五島の海岸線はリアス式で、入り江や岬が入り組んでおり、深場・浅場・岩礁・砂地など多様な地形が広がります。そのため、「イサキ」「カンパチ」「アジ」「クエ」など季節ごとにさまざまな魚が水揚げされる、日本でも有数の魚種の豊富な海域となっています。
🔹漁師の営みと共にある海
五島では昔から、漁が盛んで、島民の暮らしと密接につながっています。今でも多くの家庭が、毎日のように新鮮な魚を食卓に並べる文化を大切にしています。
旬を味わう!五島の代表的な魚たち
🌸春(3月〜5月)
3月の魚 | マダイ ブリ ヒラメ |
4月の魚 | マダイ メダイ |
5月の魚 | イシダイ イサキ イセエビ |
ブリ

天然魚の水揚量では、春先から五島近海に回遊し6kgから10kgで大きいものは15kg以上の物が水揚げされる。
【主な漁法】
定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、照焼きなどで美味
マダイ

祝い事、祭事に欠かせない魚で春季の産卵期のマダイは「桜鯛」と呼ばれ、特珍重される。
【主な漁法】
一本釣り、定置網、刺し網など
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼き、潮汁など数多い
ヒラメ

白身魚の中では特に淡白で繊細な味わいがある。大きなものは「座布団」とも言われる。
【主な漁法】
一本釣り、定置網、刺し網など
【調 理 例】
刺身、煮付け、昆布締めなどで特にエンガワはこりこりした食感で美味
イシダイ

春先から主に定置網で水揚げされ、その多くは活魚で島外に出荷される。
強靱な歯で貝や甲殻類の殻をかみ砕き磯釣りの太公望のあいだでは、幻の魚と言われる。
【主な漁法】
定置網
【調 理 例】
刺身、煮付けなどで、皮焼きの刺身は特に味わいが増す
イサキ

盛漁期には、200g~1kgサイズで大量に漁獲される。夏場のイサキは脂がのり大きければ大きいほど美味しい。
【主な漁法】
定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼きなど
イセエビ

体調20㎝から30㎝で、まれに40㎝を超える大物もいる。
重量は200gから1kgで8月21日に解禁となり五島の各地で水揚げされる。
身は甘みがあり美味しく関西方面でも五島のイセエビは人気が高い。
【主な漁法】
刺し網
【調 理 例】
刺身、味噌汁など
☀️夏(6月〜8月)
6月の魚 | トビウオ キントキ(チカメキントキ) アカムツ |
7月の魚 | ハガツオ ヒラス(ヒラマサ) サザエ カマス |
8月の魚 | キビナ イサキ ヤリイカ |
キントキ(チカメキントキ)

標準和名「チカメキントキ」でキンメダイに似ていることからキンメとも呼ばれる。体長40~60㎝で体色は鮮やかな朱色や紅色で腹びれは極めて大きい。
【主な漁法】
一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼きなど
サザエ

5月から8月にかけて水揚げされ夏のイメージが強い貝である。
波が荒い所に居るものは角が長く、逆に波が穏やかな場所のものは角が短くなる。
【主な漁法】
素潜り、刺し網
【調 理 例】
刺身、壺焼き、炊き込みご飯など
アカムツ

水深100~200mの深海に生息、「のどぐろ」とも呼ばれる高級魚で旬は冬から春。
【主な漁法】
延縄漁
【調 理 例】
刺身、煮付けなど
ヒラス(ヒラマサ)

ブリによく似ているがブリより魚体は平たく細長く、高い値で取引される。
(主な漁法)
定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼きなど
トビウオ

春から夏にかけて水揚げされる。五島では、マルトビ(ホソトビウオ・ツクシトビウオ)、カクトビ(ハマトビウオ)の2種が水揚げされるが主にマルトビは加工用、カクトビは鮮魚として出荷する。
【主な漁法】
定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、すり身、アゴ出汁など
ヤリイカ

春から秋にかけて漁獲される。甘みがありイカの中でも高級品である。
【主な漁法】
定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼き、など
ハガツオ

口が大きく歯が鋭いのが特徴で鮮度落ちが早いところから五島からの出荷は主に福岡・長崎で流通。
五島ではカツオといえばハガツオのことを指す。
【主な漁法】
曳縄、定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼き、など
カマス

アカカマス、クロカマスの2種が漁獲されアカカマスは鮮魚、クロカマスは主に加工用として取引される。
【主な漁法】
定置網
【調 理 例】
塩焼き、干物、刺身、練りものなど
キビナ

魚体は10cm位で群れで行動する。旬は産卵期の初夏とされるが冬場の方が美味しい。
【主な漁法】
刺し網
【調 理 例】
刺身(おびき)、いり焼き(鍋)、干し物など
🍁秋(9月〜11月)
9月の魚 | カンパチ メダイ タチウオ |
10月の魚 | サバ シイラ カツオ |
11月の魚 | アラ(クエ) アオリイカ ウチワエビ |
アオリイカ

イカの王様といわれ胴の長さが30~40㎝で2kgを超える大物もいる。五島ではミズイカと呼ばれ身は透き通っている。秋になると身が厚く柔らかく弾力があり、甘みが増し美味しい。
【主な漁法】
定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、干し物などで一夜干しは特に美味しい
カンパチ

五島ではネリと呼ばれている。頭に八の字型の斑紋があり魚体は赤紫色をしている高級魚である。
【主な漁法】
定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼きなど
カツオ

春と、秋から冬にかけて水揚げされカツオの名は五島ではこの魚よりハガツオの方がとおりがいい。
【主な漁法】
曳縄、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、たたき、煮付けなど
メダイ

体表は粘液で覆われ目は大きいのが特徴。名前は、この大きな目に由来している。
【主な漁法】
刺し網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、フライなど
サバ

マサバとゴマサバがあるが水揚量は圧倒的に側面に斑点があるゴマサバが多い。
【主な漁法】
定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼きなど
ウチワエビ

体長20センチを前後で縦扁(平たい)する。甘みが強く旨みもある。エビの中でも最も旨いという声がある。
【主な漁法】
刺し網
【調 理 例】
ゆでる(蒸す)、焼く、刺身、みそ汁など
アラ(クエ)

体長1.2m、重さ50kgを超えるものもある。九州では「あら」といい、九州場所のある冬場に鍋などで供され、非常に人気が高い。
【主な漁法】
延縄、定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、鍋、煮付け、塩焼きなど
タチウオ

夏から秋にかけて漁獲され、曳縄漁で水揚げされる魚は「五島太刀」のブランド名で出荷されている。
【主な漁法】
曳縄、定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼きなど
❄️冬(12月〜2月)
12月の魚 | マグロ ブリ ヤイトカツオ(スマ) |
1月の魚 | ブリ マグロ カンパチ |
2月の魚 | メジナ サワラ ハガツオ |
まぐろ

大型の回遊魚で12月頃から五島列島近海に回遊してくる。3kgから大きいものは100kgを超えるものも水揚げされる。
【主な漁法】
曳き縄、定置網など
【調 理 例】
刺身、煮付けなど
メジナ

五島では「クロ」と呼ばれ冬場は脂がのり美味である。
【主な漁法】
定置網、流し釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼きなど
サワラ

歯が鋭く魚体は細長く体側に青褐色の丸い波紋が並んでいる。
冬に獲れる鰆は脂がのり、刺身はマグロの中トロに匹敵するともいわる。
【主な漁法】
曳き縄、定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、焼き物など
ヤイトカツオ(スマ)

胸鰭の下に黒い斑紋があるのが特徴で脂が異常にのっており、食通には好まれる魚である。
【主な漁法】
曳縄、定置網、一本釣りなど
【調 理 例】
刺身、煮付け、塩焼きなど
五島では、その日に獲れた魚をその日のうちに食べるのが当たり前。旬の魚を知っておくと、旅先の食事やお土産選びがもっと楽しくなりますよ。
五島の魚の美味しい食べ方
🥢1. やっぱり一番!新鮮な「刺身」
五島の魚はその日の朝に獲れたものが昼には食卓に並ぶほど新鮮。そのため、まずはシンプルに刺身で味わうのがおすすめ。
「イサキ」「カンパチ」「アジ」などは、身の弾力と旨味が際立ちます。
🍲2. 漁師めし!魚の「あら炊き・煮付け」
ブリやクエ、メジナなどは、あら(頭や骨まわり)まで使った濃いめの煮付けが絶品。
五島の家庭では、砂糖と醤油でしっかり甘辛く炊いた「煮付け」がおふくろの味。
🔥3. 炭火でじっくり「塩焼き」
「カマス」や「サバ」などは、塩焼きにすると脂の甘みが引き立ちます。
五島の海風で干した一夜干しの魚を炙るのも、地元流の贅沢な味わい方。
🫕4. 冬のごちそう「クエ鍋」
寒い季節に登場する「クエ鍋」は、五島の冬の名物。クセがなく上品な味わいの白身に、コラーゲンたっぷりの皮やアラも堪能できます。
🍚5. 島ならではの「魚の漬け丼」
新鮮な刺身を、醤油やみりんで軽く漬け込んだ「漬け丼」も人気。
地元の飲食店や旅館の朝ごはんでもよく見かける一品で、「アジ」「カンパチ」「ブリ」が特に合います。
おまけメニュー
アジの黄金焼き

(4人分)材料
アジの切身 | 300g |
小麦粉 | 大さじ3杯 |
カレー粉 | 大さじ2杯 |
塩 | 少々 |
卵 | 1個 |
油 | 大さじ3杯 |
アジの黄金焼き作り方
①アジは適当な大きさに切り塩をふっておく。 (小さいのはそのまま、大きいものは2枚おろして)
②小麦粉、カレー粉を合わせ1.にまぶします。
③2.をわりほぐしした卵にくぐらせる。
④フライパンに3.を並べてフタをしてこんがり焼く(弱火でゆっくり)
母さんの知恵
ナイロン袋に小麦粉、カレー粉を混ぜ合わせたのを入れ、その中にアジの切身を入れると、むらなく粉がつく。
五島の魚を買う・味わうには?
せっかく五島に来たのなら、魚を食べたいですよね!当社が運営している一棟貸し宿HARUは、地元の鮮魚店『丸正鮮魚店』と協業しております。繁忙期には代表も店頭でお手伝いしております。
魚を買うなら丸正鮮魚店
魚屋さんの朝は早く、6:30から魚市で競りが始まります。


朝から競り落とした新鮮な魚が店に運ばれ、プリプリなお刺身となって店頭へ並びます。いけすには魚やエビが泳いでおります。是非、一度足を運んでみてください。
HARUにご宿泊頂いたお客様には、お刺身の特別サービスも行っておりますので、気になる方はお問い合わせください。
まとめ
五島の魚がくれる“豊かさ
五島の海で育まれる魚たちは、ただの「食材」ではありません。
それは、自然の恵みであり、島の人々の暮らしを支える宝であり、訪れる人にとっては忘れられない旅の味でもあります。
毎朝、漁港にあがるピカピカの魚。
家庭で当たり前のように出てくる新鮮な刺身や煮魚。
それを囲む家族の笑顔や、食卓に流れるあたたかな時間。
五島の魚は、命のつながりや四季の変化、そして人とのつながりを、そっと教えてくれる存在です。
もしあなたが五島を訪れることがあれば、ぜひ一口、その「豊かさ」を味わってみてください。
きっと、それがこの島をもっと好きになるきっかけになるはずです。